初回投稿日:2021/3/15 最終更新:2023/3/16
外貨建て保険について、別の記事では今後保険を検討するときにはぜひ選択肢に入れてみていただきたい商品であるとお伝えしました。
そこで今回は、外貨建ての終身保険を学資保険代わりの準備として考える場合について、具体的におススメ方法とポイントをご紹介していきます。
現在学資保険をご検討の方がいらっしゃいましたら、ぜひご紹介します内容をご一読いただければと思います。
※外貨建て保険自体よくわからない・・・という方は、まずこちらから外貨建て保険について確認を⇒【外貨建て保険マニュアル!完全保存版】
最初に:外貨建て保険を簡単におさらい
外貨建て保険を学資保険代わりに使おうとしたときは、外貨建て保険の正しい知識が必要不可欠です。
せっかくお子さんのための積立で考えているのに、リスクに対してできる対応を考えずに入ってしまうといざという時「こんなはずでは・・・」ということになってしまいかねません。
そこで大事になってくるのが、しっかりと『内容』『リスク』を理解した上で検討・加入する事。
内容を理解して活用方法を考えていただければ、完全にリスクを排除することはできないものの、なるべく元本割れの可能性を軽減できるような対策をすること自体は可能です。
今回の記事では、簡単に外貨建て保険で学資を用意する場合の知っておきたい概要と、リスクをなるべく軽減する方法についてお伝えしていきます。
外貨で考える場合には外せないポイントになりますので、是非確認してみてください。
確認!外貨建て保険で学費を準備するメリット・デメリット
まずは改めて、外貨建て保険の特徴から、学資保険がわりに外貨建て保険を活用するときのメリット・デメリットを上げてみます。
メリット
・利率がいいのでドルで見たときの運用が有利
・利率がいいので保険料が割安
・日本円での固定額の保障がなく、為替差益が発生する可能性がある
・留学等、ドルのまま使う時は効率的
デメリット
・日本円での固定額の保障がなく、為替差損で最悪元本割れする可能性がある
・他の方法と比べると、外貨ならではのコストがある
リスクを軽減させる対応策として2点!
デメリットとして挙げた2つのうち、特に気を付けなければならないのは為替差損・元本割れ。
そこに対する解決策として、なるべく円高の時に円に変えなくてもいいように対応できる土台を作っておくことが必要になってきます。具体的な方法としてはこちら。
①なるべく短い保険料払い込み期間を設定する事
②ドルで受取ができる商品を選ぶ事
この2点について、次から詳しく説明していきます。
①払込期間を短く設定する
払込期間を短く設定する事により、受取が少なくなる可能性をさげることができます。
ポイントは2つあります。
1、返戻率自体を上昇させる
まず1つ目が、払込期間を短くすることでそもそもの返戻率自体を上昇させること。
なるべく保険会社に運用してもらい多く受け取りたい、という場合、払込期間が終わった後どれだけ運用期間を設けることができるかがポイントになります。
払込期間を短く設定すればするほど、実際に受け取りたいタイミングまで保険会社が運用することができるようになるので、払込期間を長く設定したときと比べて返戻率は高くなります。
返戻率自体の底上げができていれば、もし万が一、払込時より受取時のほうが若干円高になっていて為替差損が発生してしまったとしても、元本割れまでには至らず、既払込保険料から見たときの返戻率としては十分な結果になっている可能性があります。
2、払込期間を短くして自由度を上げる
そして2つ目が、払込期間を短くしドルでの返戻率が100%を超えるタイミングを早くすることで、解約のタイミングを計ること。
デメリットで上げたように、外貨建て保険は円に変えるタイミングの為替レートによって円での金額が確定します。
そこでできるだけ為替差損を発生させないように・・・むしろ、為替差益が発生するように円安のタイミングで、円に変えたい所です。
そのためには、解約のタイミングを計る時間が必要になってきます。
例えばお子さんが18歳の時に円での資金が必要だとしたら、払込期間を17年間にした場合払込期間終了後、解約のタイミングを計れるのは約1年間しかありません。
もしこの1年の間円高が続いていたとしたら、為替差損が発生する可能性が高くなります。
一方、払込期間を10年間に設定していた場合、解約のタイミングを計るのに8年間みることができます。
1年間で決めなければならない場合よりも、8年間様子を見たほうが、どこかで円安のタイミングが訪れる可能性が高いので、為替差損を起こす可能性を低くすることができます。
払込期間を短くすることで、そもそもの運用期間を長くして返戻率を高めつつ、円安のタイミングを計る。
そうすることで、何も策を講じないよりはリスクを軽減できる可能性があります。
②ドルで受け取れる商品を選ぶ
為替差損のリスクを抑えるためにはドルで受け取れる商品を選ぶのも大事なポイントです。
今回は外貨建ての終身保険を学資保険代わりに準備した場合の話ですが、そもそもの終身保険の内容としては『死亡時に保険金が受け取れる』というものです。
その為、解約したい時期、お子さんの学費資金を用意したいタイミングより前に万が一の事が起こった場合は、設定しておいた保険金が支払われて契約が終了します。
そうすると円でしか受け取れない商品を選んでいた場合、万が一の事が起こった時点での為替レートで円での支払いがされてしまうため、その時に円高であれば想定していたよりも少ない額での支払になってしまう可能性があります。
その対応策が、ドルで受け取れる商品の選択です。
もし円高のタイミングに万が一の事があったとしても保険金をドルで受け取ることができるので、ドルで資金を保有しておくことができます。
そして自分で必要なタイミングの前、円安のタイミングで円に変えることができるようにしておくことで、為替差損の可能性を抑えることができます。
実際元本割れのリスクはどのくらいあるか?
ちなみに、万が一の際に円高だった場合、元本割れする可能性について計算してみました。
例としてはコチラの条件。
男性30歳、保険料払込期間:10年、死亡保険金額:5万ドル、総払込保険料:2万5,000ドル
例えばすべての払込期間を通じて為替レートが$1=¥100だったとした場合、払込保険料を円に直すと250万円になります。
それに対して、円に変換時のレートがどのくらいになれば5万ドルを円に直した時に元本割れするか計算していきます。
※為替レートは本来円以下の単位『銭』も使用しますが、今回は割愛。また両替手数料も割愛して概算で出します。
$1=¥90 5万ドル=450万円(返戻率180%)
$1=¥80 5万ドル=400万円(返戻率160%)
$1=¥70 5万ドル=350万円(返戻率140%)
$1=¥60 5万ドル=300万円(返戻率120%)
$1=¥50 5万ドル=250万円(返戻率100%)
結論:この例でいうと、払込期間中の平均レートから50円以上差がつく円高にならない限り、元本割れは起こらない。
この結果から見ていただければお分かりの通り、基本的に外貨建て保険は予定利率が高いので、解約ではなくて被保険者の死亡で保険金を受け取った場合は基本元本割れの可能性は低いといえます。
ただし元本割れは本当に最悪の事態。
今回のテーマは学資保険代わりとしての外貨建て終身保険の準備なので、その前提から言えば学費に対する準備として十分な資金が確保できるか・・・という所がポイントです。
一番お金が必要になってくる大学入学のタイミングに焦点を当てると、最低200万円、できれば300万円は確保しておきたい所。
そこで300万円に合わせて考えてみると、払込期間中の平均レートからドルに対して円の価値が40円以上差つく円高にならない限り返戻率120%は確保でき、学費として活用できる計算になります。
解約の場合はともかく、万が一被保険者が亡くなってしまい死亡保険金が支払われる・・・という場合に置いては、元本割れを心配するより、なるべく多く受け取るためにタイミングを見ることの方が多くなってきそうです。
おまけ:為替リスクが関係しない場合
これはすごくレアケースだと思いますが、もし将来的にお子さんを連れての海外移住も視野に入れていたり、お子さんを留学させようと思っているなら、外貨建て保険で準備するのはおススメかもしれません。
その時は必ず、ドルで受け取れる商品を選ぶ事が必要です。
この場合はドルを円に変えて使う必要もなく為替リスクは発生しないので、ドルで増えた分はその分だけ留学先での学費として使っていただけます。
最初から海外留学を前提にした教育計画は少ないと思いますが、念のため頭の片隅にでも置いておいていただければと思います。
リスク軽減策まとめ
今回は、外貨建て終身保険で学資を用意するという時の、知っておいていただきたいリスク軽減策2点についてお伝えさせていただきました。
内容としてはお子様の教育資金の為、学資保険代わりに準備する時、とスポットを当ててご紹介しましたが、他の目的でも外貨建て保険を検討する時には今回のポイントをぜひ念頭に置いてみてください。
リスクも、そのリスクたる要因もしっかり理解いただいたうえで、検討をいただく1つの情報になれば嬉しいです。