保険料の払込み方法について、よくご質問いただくものとして『一時払い』と『全期前納』という言葉の違いがあります。
文字だけ見ると『保険料を一度に払い込む』という点で同じように見えるので、確かに少しややこしく感じます。
何が違うのかを正しく理解しないまま申し込むと、後々こんなはずではなかったのに、となる可能性もありますので、今回はその違いについて確認していきましょう。
まず名前から分析
違いについて考える時、まずこの二つの言葉自体を分解してみましょう。そうすると多少わかりやすくなります。
一時払い … 保険料を『一時』で全て『払い』込みます
全期前納 … 『全』ての『期』間の保険料を、『前』もって『納』めます
一時払いが『保険料を払っている』のに対して、全期前納は『保険料を前もって納めているだけ』という扱いになっています。
これは払い込む側として一度に払うのは同じなのですが保険会社がそれをどう受け取るか、というのが違います。
保険会社の受け取り方の違い
一時払いは一回で払い込まれた保険料をすべて支払として保険会社側が受け取って支払完了となりますが、全期前納は、払い込まれたお金はあくまで『預かっておきますね』というスタンス。
『全期前納』で支払われた保険料はその預かったお金の中から、毎月だったり毎年の保険料の支払い日に保険会社が保険料として受け取る仕組みになっているので、実際には支払いが済んでいるわけではありません。保険会社という口座に全部の保険料を入れておいて、あとは勝手にそこから毎月だったり毎年の支払日に保険料の引き落としがかかるイメージです。
ただし、銀行の口座に預けているのとは違い、一度預けたお金を引き出すことはできませんので注意してください。
では、その実際に支払いが完了しているかしていないかの違いがどのように他の部分に影響してくるかも確認しましょう。
それぞれの取扱いの違い
保険料の割引
一時払い…まとめて払う分保険料の割引があり、全期前納よりも安くなる
全期前納…割引はあるが、一時払いよりは割り引かれない
死亡時
一時払い…契約時に決めた保険金の支払いのみ
全期前納…契約時に定めた保険金の支払い+預けておいたお金の中で払込時期が到来していない保険料が戻る
解約時
一時払い…解約返戻金のみ
全期前納…払込が済んでいる分の解約返戻金+預けておいたお金の中で払込時期が到来していない保険料が戻る
払込免除が付いている場合
一時払い…最初に全て支払いが済んでいるので、効果はない。
全期前納…預けておいたお金の中で払込時期が到来していない保険料が戻る
生命保険料控除
一時払い…契約時の一度のみ
全期前納…保険料払込期間中毎年受けられる
まとめ
一時払いは最初の一回で支払いは終わっているので、払っていない保険料というものがありません。
その為、保険金や解約返戻金以外に『返ってくるお金』というものは発生しなくなります。
また、保険料控除も「その年に払った保険料に応じて控除する」という性格の為、実際に保険料を『払っている』最初の一度しか受けられません。
全期前納は保険料払込期間中実際の支払いは続いているという扱いなので、通常の月払いで契約している場合と扱いは同じになります。
どちらがいいの?
これは実際考え方次第でかわってきます。
若いしもしものことが起こる可能性は考えづらい、払い込み免除になる可能性が低いから返戻率をとにかく高くしたい、という場合は割り切って一時払いがおススメですし、もしせっかく払込免除もあるし万が一の可能性も考えておきたいという場合なら全期前納がおススメです。
個人的には保険料控除もありますから、特にこだわりがないなら全期前納の方がおススメできるという気もします。※ただ収入によって控除額は違うので、全期前納の方が絶対にお得になる、という訳ではありません。
またこれは余談ですが、一時払いにしても全期前納にしても、最初に大きな額を払うだけの余裕がないとできないので、その点でいえばそもそも難しい場合も考えられます。
ただし『前納』は前もって納める、という意味なので、実はすべてを前もって納める『全期前納』するだけの資金がなくても半分の期間を前もって納める『半期前納』だったりもう少し期間を狭めて前納することもできたりしますし、全期前納ほどではありませんが割引もあります。
すべては無理でも、多少の額だったらまとめて払えるかもしれない、ということも考えると、○○前納といった払込方法の方が選びやすいかもしれませんね。
まとめ
今回は一時払いと全期前納の違いについてでした。
保険種類によっては払込方法がそもそも限定されている場合もあるので、実際に検討する際にはどの払込方法が選べるのかもチェックしていただければと思います。
ただ、実際どのくらい割引されるのか?自分の収入だと一時払いの割引と、全期前納の割引+保険料控除とだとどちらがよさそうなのか?などは自分で調べるには限界がありますので、一度検討材料を得るためにプロに聞くのもおススメの手段です。
皆さんが保険の準備をするときに、今回の内容が少しでもお役に立てればなと思います。