初回投稿日:2021/6/30 最終更新:2023/3/25
教育費用を支払うための方法として、学資保険等の『貯めておく』という手段のほかに、『貸し付けを受ける』という方法もあります。
それが、『奨学金制度』や『教育ローン』です。
利用する可能性がある方はもちろんですが、今のところ予定していない方も、内容を確認しておいて損はないはず!
ぜひこの機会に、『奨学金制度』と『教育ローン』の2つの違いについて確認してみてください。
最初に今回の記事の中で、私が特に大事だと思う点を抜粋してご紹介しておきます。
●運営元が違えば金利も違う。
●金利は低い順に『奨学金』<『国の教育ローン』<『民間の教育ローン』
●奨学金は学生が借りる、教育ローンは保護者が借りる
●どちらも共通して言えることは「借りすぎることなく適切な金額を設定すること」
ぜひ気になるところだけでもご確認下さい!
また、奨学金や教育ローンはもちろん気になるけど、保険でしっかり自分で用意しておくことを第一に考えたい、という方はこちらもぜひご確認下さい!
⇒保険を活用した教育費用の準備方法をご提案。保険無料相談.comはこちら
最初に異なる点を一覧で確認
奨学金と教育ローンは、どちらも『貸付を受ける』という意味では同じです。
ただ、この2つの詳細な内容やその違いについては、あまり区別がついていない、よくわかっていない、という方も多いかもしれません。
詳しいご紹介を始める前に、異なる点について簡単にまとめていきます。
それぞれの内容は後から補足していくとして、まずは表で確認してみましょう。
公奨学金 | 教育ローン | |
---|---|---|
運営元 | 日本学生支援機構 | 日本政策金融公庫 or 民間銀行・信販会社 |
借主 | 学生 | 保護者 |
返済時期 | 貸与終了から | 翌月から |
利息発生 | 卒業後から | 借入時から |
受付時期 | 特定の期間 | 随時 |
貸付時期 | 大学入学後 | 随時 |
振込方法 | 毎月振込 | 一括振込 |
ご覧いただいたように、表でまとめてみると様々なところで違いがあることがお分かりいただけるかと思います。
さっそく、それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
【相違点1】運営元
最初は、運営元の違いです。
表でもご紹介しましたが、それぞれの運営元は下記の通りになります。
奨学金・・・日本学生支援機構
教育ローン・・・日本政策金融公庫 or 民間銀行・信販会社
運営元で正確に分けた場合は、『奨学金』と『教育ローン』の2種類ではなく、『奨学金』と『日本政策金融公庫から借りる国の教育ローン』と『民間銀行・信販会社から借りる民間の教育ローン』の3種類に分けられます。
教育ローンを3種類に分けてみると、その要件や審査の厳しさ、金利等はそれぞれによって異なります。
【相違点2】金利
金利に注目した場合、低い順番に並べるとこのようになります。
運営元で違う金利は『奨学金』<『国の教育ローン』<『民間の教育ローン』
一番低金利で借りることができるのは奨学金です。
奨学金の場合
奨学金は、そもそも「給付型」と「貸与型」の2種類あり、「給付型」の場合はその名の通り給付なので、返す必要はありません。
また「貸与型」の中でも2つに分かれており、利息がそもそもつかない「第一種奨学金」と、利息がつく「第二種奨学金」の2種類があります。
給付型と第一種奨学金は対象者の審査が厳しいので、実際のところ多くの方が利用しているのは利息がつくタイプの第二種奨学金です。
利息についての取り決めでは『年3%が上限』と定められてはいますが、実際のところ2023年1月時点の年利はこの通り。
利率固定方式:約0.805%
利率見直し方式:0.200%
利率見直し方式は1年ごとに利率が変わる可能性はありますが、それにしてもこの利率の低さであればとご利用される方も多いかと思います。
国の教育ローンの場合
次点で金利が低いのは、日本政策金融公庫から借りることのできる国の教育ローンです。
2023年2月段階の金利は下記のとおりです。
全期間固定:1.95%
また、母子・父子家庭の場合や、所得条件を満たす場合などは0.4%金利が引き下げされる優遇処置があります。
該当するかも?という方はぜひ条件を確認してみましょう。
民間の教育ローンの場合
最後に、一番金利が高めになる民間の教育ローンです。
『民間の教育ローン』はさらに2つに分かれ、民間銀行の教育ローンと信販会社の教育ローンがあります。
この2つを比べると、信販会社の教育ローンの方が金利が高めに設定されています。
実際の金利はその金融機関によって異なるため、一概に金利はこのくらいとご紹介するのは難しいのですが、大体低いところで1%前後から、高いところで10%後半程度まで、比べてみると大きな差があります。
それ以外にも民間の教育ローンは様々な面で差が出やすいので、利用するときには金融機関選びが非常に大事になってきます。
民間の教育ローンを考える時はしっかり比較検討が必要なことを覚えておきましょう。
【小まとめ】金利だけで考えるなら奨学金
簡単なご紹介ではありましたが、どこで借りるかで金利について差がでることはお分かりいただけたかと思います。
金利の有利さだけを見た場合は奨学金がとびぬけていいように思えますが、そのほかの要素も組み合わせてみてみると実際の使い勝手というのはどうなのでしょうか。
続けて別の項目でも違いを確認していきましょう。
【相違点3】借主と返済時期の違い
次に確認するのは借主と返済期間の違いについてです。
表でもご紹介していますが、『奨学金』の借主は学生本人、『教育ローン』の借主は保護者なので、ここは大きく違います。
また、返済時期も『奨学金』は貸与終了後から、『教育ローン』は借りた翌月からなので、ここも一緒に確認をしておきたいポイントです。
早速それぞれの内容について確認していきましょう。
奨学金の借主と返済時期
奨学金は貸与が終了した翌月から数えて7か月目から、学生本人による返済が始まります。
奨学金は一定期間毎月貸与されるので、例えば在学期間中を貸与期間とした場合にはその間返済は不要なので、勉強に集中したい時期にお金の心配をしなくてよいという点では安心です。
ただし、返済開始のタイミングは『就職したら』などではなく時期で決められているので、もし万が一就職浪人をしてお給料がなくとも、お給料が希望していたより低くても、返済が始まるので注意が必要です。
ただ、どうしても返済が厳しいという場合は、状況によって月々の支払いを減額したり、一定期間の返済を止めて、その分期間を延ばして返済を行ったりという方法もとれなくもありません。
ですが、トータルで支払う金額が安くなるという訳ではない事は覚えておきましょう。
借りられるなら余裕をもって少し多めに・・・と必要以上の金額を借りてしまうと、この返済が始まってからの期間が大変になってしまいますので、借入額は適切に判断することが必要です。
教育ローンの借主と返済時期
教育ローンに関しては、借入の翌月から、保護者による返済が始まります。
保護者が教育ローンの借入を行っている時点で、おそらくある程度安定した収入があるかと思います。
そのため、大体月いくら位であれば返済していけるか考えたうえで借入を行うことができ、奨学金と比べると返済計画の確実性は高いと言えます。
また、借入の返済は原則翌月から発生しますが、日本政策金融公庫による国の教育ローンや一部の民間の教育ローンでは、在学中は利息のみの返済にして負担を減らし、卒業後にその分の元本を上乗せで支払うといった返済方法をとることができる商品もあります。
考え方や経済余力に合わせて、どういった内容の教育ローンを選ぶか検討してみましょう。
【小まとめ】借主・返済時期で考える返済計画の確実さ
私見にはなりますが、返済計画の確実さでいえば、現時点での収入をみて検討できるという点で教育ローンの方が勝るかなと思います。
ただ、奨学金であっても、そこまで借り入れる額が大きくない=毎月の返済が少なく、期間も短くて済むという場合であれば、比較的安心してご利用いただけるかと思います。
奨学金は多くの学生が借りているので、中にはそこまで重くとらえずに利用を考える方もいらっしゃると思いますが、言い方を変えても借金は借金です。
未来の自分が返済する必要がある、ということはしっかり認識して検討をしましょう。
【相違点4】受付時期の違い
教育費のために使いたいお金ですので、利用するときに気を付けなければいけないのが受付時期です。
期限を忘れていて貸付を受けることができず、大学への支払いが不可能になってしまっては大変です。
奨学金と教育ローンに関して、それぞれ受付時期について確認しましょう。
奨学金の受付時期
奨学金の申込みは以下の3種類があります。
②在学採用
③緊急採用・応急採用
それぞれによって申込み方法と時期が異なりますので、簡単にご紹介していきます。
①予約採用の受付時期
予約採用は大学などに進学する前、現在在学中の学校(高校など)を経由して申込む方法です。
予約採用の申込期限は『第一種奨学金(無利息のもの)』と、『第二種奨学金(利息があるもの)』とそれぞれ別に設けられており、期限は一般的に下記となっています。
第一種奨学金・・・5月~7月中旬を予定
第二種奨学金・・・5月~11月下旬を予定
ただし、この募集時期は変更される場合があるため、詳しくは通っている学校の奨学金窓口に問い合わせるのが確実です。
当然ですが期限内に手続きをしなければ募集に応募することもできませんし、また奨学金を借りる権利を得たとしても、その後に必要になる手続きを行わないと権利が取り消されてしまうので注意しましょう。
②在学採用の受付時期
在学採用は大学などに進学後、在学中の学校経由で申込む方法です。
募集は毎年春と固定ですが、具体的な募集期間は学校によって異なります。
こちらも通っている学校の奨学金窓口に問い合わせてください。
また、この在学採用は、予約採用で不採用になってしまった人も再度申込みができるようになっています。
予約採用で奨学金を借りることができなかった方でも在学採用の方での借入ができる可能性もありますので、ぜひここは覚えておきましょう。
③緊急採用・応急採用の受付時期
緊急採用・応急採用は、失職・破産・自己破産・病気・死亡などにより家計が急変した場合、または火災・風水害などの災害や学校の廃止によってやむを得ず別の学校に入学し、必要な費用が増加して家計が急変した場合などで緊急に奨学金が必要になった場合に申し込めるものです。
いわゆる第一種奨学金(無利息のもの)にあたるものが緊急採用、第二種奨学金(利息があるもの)にあたるものが応急採用と呼ばれます。
※厳密にいえば緊急採用・応急採用の間で利息あるなし以外でも違うところもありますが、ここでは割愛します。
こちらは申し込む時の状況が状況ですから、特別申込期間などは設けられていません。
ただし、その困窮する理由となった出来事が起こってから12ヶ月以内であるという条件はありますので、その点は注意しましょう。
奨学金は原則、受付時期の設定あり
奨学金の3つの種類別で受付時期についてご紹介しました。
奨学金に関しては、本当に急激な変化により必要になった場合の「緊急採用・応急採用」以外は受付時期の設定があるので、うっかりして時期を過ぎていた・・・ということが無いようにしましょう。
教育ローンの受付時期
次は教育ローンの受付時期についてです。
教育ローンは「国の教育ローン」と「民間の教育ローン」の2種類あるとお伝えしていましたが、どこが主体かに関係なく、教育ローンには受付時期は定められていません。
期間はないが、余裕を持った手続きを
教育ローンだと手続き期限がないので、受付期間が過ぎてしまって、借り入れることができない・・・ということはありません。
ただ、手続きのタイミングによってはお金が必要な時期に間に合わない、というケースは考えられます。
ちなみに、国の教育ローンを提供している「日本政策金融公庫」のサイトでは、以下のようにおすすめしていました。
“余裕を持って資金をご準備いただけるよう、必要時期の2~3ヵ月前のお申し込みをおすすめします。”
“例年、合格発表の時期はお申込みが集中するため、お申込みが直前になってしまうと入学金の振込までに間に合わない、ということも・・・いつでもキャンセルは可能なので、早めにお申込みいただければ安心です。”
出典元:日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)」
日本政策金融公庫のサイトでおすすめされている通り、利用したいと決まった時にはなるべく早めに行動を起こすようにしましょう。
【小まとめ】奨学金は原則期限あり、教育ローンは期限なし
ご確認いただいた通り、一般的に利用する奨学金(予約採用・在学採用)は申込期限があり、教育ローンは特別期限はなく随時申込可能のため、差が出る結果となりました。
特に奨学金に関しては学校によって具体的な締め切りはことなるので、知らなかった、お知らせをなくしてしまった…ということがないようにしっかり情報収集を行うようにしましょう。
【相違点5】貸付時期と振り込み方法について
比較項目の最後はこちら、実際にお金を受け取ることができるタイミングと受取方です。
使いたいときにお金が受け取れなければ、結局支払いが滞ってしまったり、一時的とはいえ手出しが出てしまったりとバタバタしてしまうかもしれませんよね。
いつ受けとれるのかを事前に把握したうえで、スケジュール感覚をつかんでおきましょう。
奨学金が受け取れるタイミングと振り込み方法
奨学金の受取りタイミングですが、予約採用(高校在学中に奨学金借入の申込みをする方法)と、在学採用(大学など在学中に申込みをする方法)でそれぞれ異なります。
予約採用⇒大学入学後の4月から毎月決まった額の振り込み
在学採用⇒翌年の4月から毎月決まった額の振り込み
そのため、借り入れの目的が『在学中にかかるお金に充てたい』ということなら問題なく活用いただけますが、大学入学前にまとまってかかる入学金関係・1年生の前期分の学費の支払いに充てたいという時には、奨学金ではカバーできないということになります。
教育ローンが受け取れるタイミングと振り込み方法
教育ローンの受取りタイミングですが、こちらは受付時期自体が随時なので、受け取れるタイミングも審査が通り次第で随時の受取りが可能となります。
早めに対応すれば当然早めに受け取ることができますし、手続きが遅くなってしまえばその分遅くの受取りになります。
また、受け取るときは一度にまとめて振り込まれるため、まとまってかかる費用の支払いに充てたいという時には最適ですが、毎月コンスタントにかかるお金に充てたいという場合は、自分で配分を考えて対応しなければいけない点は注意が必要です。
【小まとめ】何の支払いに充てたいかによって最適な選択肢は変わる
確認いただいたように、『奨学金』と『教育ローン』では受取時期が明確に違うため、適した用途がまったく異なります。
「まとまったお金は用意できているけど、毎月そんなに仕送りもできないし入学してからの毎月の出費が心配」という時には奨学金の方が受け取るタイミング・受取方としては適しています。
逆に「一度に大きくかかってくる負担の支払いがつらい、まとまった支払いだけとりあえず払えるように準備したい」という時には教育ローンの方が適しています。
目的別で、自分はどちらを利用すべきなのかを判断していただければと思います。
まとめ:それぞれの適した使い方
今回は奨学金と教育ローンの違いについて確認をしていきました。
それぞれの違うところ、適した使い方はご理解頂けましたでしょうか。
教育費のために貸し付けを受けるという大前提は同じでも、それぞれ使い方・返し方には特徴がありますので、しっかり希望に沿うものを選びましょう!
また、何も無理にどちらかに定めず、入学のタイミングのまとまったお金も欲しい、在学中の生活費や学費に対しても保障が欲しいという場合は、奨学金・教育ローンのどちらも利用することも可能です。
ただ、どちらにも共通して言えることは「借りすぎることなく適切な金額を設定すること」です。
何度も言うようですが奨学金は利用している方が多く、借りることに抵抗感があまりないようなところがありますが、あくまで借金は借金。
ぜひ違いを理解したうえで、適切な金額の利用をいただければと思います。
そのためにもこの記事がお役に立てれば嬉しいです!
また、こういった内容も踏まえたうえで、保険を活用した手立ても総合的に聞いて判断したい、という方は、ぜひこちらのサービスも確認してみてくださいね。