コロナウイルスの流行・蔓延は日本だけの問題ではなく、人類にとって未曽有の危機。
2020年になるとほぼ同時にニュースに出てくるようになりましたが、そこから半年が経つ今でも下火になる様子もなく、地球規模で直面したことがない難局と対峙していると言っても過言ではありません。
コロナウイルスの話題が出ると『感染するリスク』や『悪化するリスク』を真っ先にイメージすると思いますが、その影響は健康の面だけに限りません。
例えば新しい生活様式の導入や、リモートワークやテレワークなどの働き方の変化など。影響は多岐にわたっています。
そして経済の面では、これから世界経済・日本経済共に大きく低迷の時代に入ることは明らかです。
企業も雇用が維持できないケースが増えてきており、6/19時点での関連した解雇・雇止めは見込みを含めて26,552人と発表がありました。
感染は努力で防ぐことができるとしても、さすがに経済への影響は個人ではどうしようもありません。
仕事を失ってしまったらどうしよう?すぐに再就職はできるのか?収入が途絶えてしまう・・・。
そんな時に生活を支えてくれるのが、「失業手当(失業保険)」です。
そこで本日は、万が一のケースに備えて、不況により倒産・解雇となってしまった場合の失業手当(失業保険)の具体的な手続きについて解説していきます。
失業手当の基本
失業保険は公的保険制度の1つで、再就職するまでの一定期間に失業手当を受け取れる、といった内容のものです。
前提の失業の定義は以下の通り。
「失業」とは、離職した方が、「就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にある」ことをいいます。したがって、次のような状態にあるときは、失業給付を受けることができません。
●病気やけがのために、すぐには就職できないとき
●妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
●定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
●結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき
出典:ハローワークインターネットサービス 雇用保険の具体的な手続き
つまり、今回のコロナ禍の影響を受け失業された方も原則は給付対象となります。
なお、病気やケガなどにより、突然、働けない状況に陥ってしまったときのために就業不能保険というものがあります。
こういった保険に入っておくとより突然働けなくなった場合、就業保険の給付金を受け取れ、家計を支えてくれます。
離職理由で条件が違う?離職者区分と受給条件
ただし受給のためには『雇用保険に加入していた期間が一定以上あること』が必要で、職を失った方だからといって絶対に同様の内容で全員が受けられる、という訳ではありません。
その条件・内容は離職の理由により異なり、離職者は下記の3種類に分けられます。
【受給者の種類】
●特定受給資格者
●特定理由離職者
●一般離職者
次から離職者の種類の定義と、受給するための条件について確認していきましょう。
特定受給資格者
【定義】
倒産・解雇などの理由により、再就職の準備をする時間的な余裕がなく離職を余儀なくされた者。
※解雇は懲戒解雇など自己に重大な理由がある場合などは除く
【受給条件】
・離職の日以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること
・ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職する努力を行っていること
特定理由離職者
【定義】
期間の定めのある労働契約の期間が満了し、更新を希望したが合意を得られなかった者。
その他やむを得ない理由により離職した者。
※特定受給資格者に該当しない事
【受給条件】
・離職の日以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること
・ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職する努力を行っていること
一般離職者
【定義】
自己都合、定年退職など、上記の2つに当てはまらない、いわゆる一般的な離職を行った者
【受給条件】
・離職の日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること
・ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職する努力を行っていること
実際に失業手当を受け取るためには?給付までの手続き
さて、では次に実際に手当を受け取るまでの流れを確認していきましょう。
前項では離職者は3種類に区分されるとお伝えしましたが、
今回はコロナウイルスの影響で
・会社が倒産してしまった
・会社から人員整理で解雇を告げられてしまった
・雇止めを受けてしまった
という方向けなので、【特定受給資格者】【特定理由離職者】の場合をご紹介します。
※ちなみに、一般離職者の場合でも手続き自体は同じです。
給付開始時期などは異なりますので参考にされる際はご注意ください。
必要書類の準備
必要な書類は6つあります。事前に下記の書類を用意しておきましょう。
以前の勤め先から発行されます。
内容としては雇用保険被保険者番号や、入退社年月日が記載されています。
また、失業保険の振込先になる金融機関の記入欄があります。
② 離職票-2
以前の勤め先から発行されます。
内容としては退職の理由や、退職前6ヶ月の給与が書いてあります。
③ 身分証明書
A:個人番号確認書類(下記のいずれか)
・マイナンバーカード
・通知カード
・個人番号の記載のある住民票の写し(住民票記載事項証明書)
B:身元(実在)確認書類(下記のいずれか)
・運転免許証
・マイナンバーカード
・住民基本台帳カードなど
※写真付の氏名、生年月日又は住所が記載の官公署発行の身分証明書・資格証明書
※届出の時点で有効なもの又は発行・発給された日から6か月以内のもの
※Bの確認書類がない場合※
次のア~ウの内、2種類の原本で代用可
ア:国民健康保険被保険者証又は健康保険被保険者証
イ:住民票記載事項証明書(住民票の写しまたは印鑑証明書)
ウ:児童扶養手当証書など
④ 印鑑
※シャチハタは不可
⑤ 証明写真2枚
※最近の写真で、正面上半身
※タテ3.0cm×ヨコ2.5cm
⑥ 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード
※一部指定できない金融機関もある
※ゆうちょ銀行は可能
離職票以外は自分で用意できるので、先に準備しておいてすぐに動けるようにしておきましょう!
ちなみに、離職票は退職した翌々日から10日以内にお手元に届くはずです。
もしその期間を過ぎても受け取れない場合は、以前の勤め先に連絡し、状況を確認しましょう。
ハローワークで失業申請の手続き
必要な書類がそろったら、ハローワークに足を運びましょう。
ハローワークでまず行うことは、求職の申込みです。
失業手当は『就職しようとする意思』があることが前提なので、求職の申込みはその意思を表すために必要な手続き。
求職の申込方法は、以下の3つの方法があります。
① ハローワークに設置されているパソコンで仮登録をしてから、窓口で求職申込み手続きをする
② ハローワークにある求職申込書の用紙に記入し、窓口で求職申込み手続きをする
③ 自宅のパソコンから仮登録をしてからハローワークに行き、窓口で求職申込み手続きをする
求職申込みが終わったら、今度は『雇用保険窓口』に行って用意しておいた必要書類を提出します。
ここで失業手当の受給資格があるかが判断され、また離職区分によって、いつから・何日間失業手当を受け取れるかが明確になります。
後は、次に参加する『雇用保険説明会』の日時を教えてもらえるので、覚え間違いがないようにしっかり控えておきましょう。
雇用保険受給者説明会への参加
教えてもらった日時で再びハローワークに出向き、今度は『雇用保険受給者説明会』に参加します。
出席は必須なので忘れないようにしましょう。
ここでは、失業保険の仕組みや、ハローワークで行っている訓練・サポートの説明などを聞くことができます。
また、失業認定日もここで決まります。
そして大事なのが以下の配布物です。
どれも大事な書類なので、無くさないように注意してください。
•求職活動計画書
※この契約書に沿った求職活動が必要
● 雇用保険受給資格者証
● 失業認定申告書
※失業保険の認定を受けるために必要
失業認定日にハローワークへいく
3度目のハローワークです。
ここでは『雇用保険受給説明会』で決まった失業認定日にハローワークに出向き、求職活動の状況の報告をします。
失業認定申告書を提出し、面談を行い、失業認定を受けましょう。
注意点としては就職活動を規定数以上(今回の場合は月2回以上)行っていないと失業認定がされないという事。
しっかり『就職活動をしている』という記録、実績が必要なので、その点は注意しましょう。
これでようやっと失業手当の支給が開始されます。
失業手当の受給
失業認定日から5営業日以内に、指定した口座に失業手当が振り込まれます。
ただし油断は禁物!
失業手当は一度手続きすればよいわけではなく、4週間ごとに失業の認定を受ける必要があります。
うっかり失業の認定を受けるのを忘れてしまうと受給できなくなりますので、スケジュールはしっかり確認しましょう。
受給までの手順、おさらい
以上、失業手当の受給までの流れをご紹介しました。
長くなってしまったので、簡単に流れをおさらいしておきましょう。
② ハローワークに行って求職申込みをし、必要書類を出す
③ 指定日にハローワークに行って説明会に参加する
④ 説明会で決まった日にハローワークに行き、就職活動の報告をする
⑤ 失業手当が振り込まれる
※あとは④と⑤を4週間で繰り返す
細かい注意点は色々あれ、必ず押さえていただきたい大きなポイントはこの2つ。
『就職活動をしている実績が必要であること』
『手続きは1度ではなく4週間サイクルで行う必要があること』
とくに就職活動の実績に関しては、求人情報を見て仕事を探した程度ではカウントされません。
詳しい内容は『雇用保険受給者説明会』で説明されますので、しっかり確認していただくようにお願いします。
まとめ
以上、今回は職を失ってしまった場合のセーフティーネット、失業手当についてご紹介をしていきました。
離職理由によって分けられる『離職者区分』や用意する書類の数々、複数回に及ぶハローワークでの手続きなど、思った以上に面倒くさそう・・・とお感じになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
申請するだけで受取れるような給付金ではないので、まずは概要を確認頂いた上で、ひとつずつ手続きを済ませていきましょう!
長くなったので、最後に概要だけ簡単におさらいしておきます。
① 失業手当は、離職者が絶対に受け取れる給付ではない。
就職の意志があり努力している方に対する手当であり、就職の意志がない方や現実勤労できない状態の方は受け取れない。
② 離職の理由により受給開始時期、日数が違う。
会社都合の場合は『特定受給資格者』か『特定理由離職者』のどちらかになる。
己都合の『一般離職者』とはあつかいが違うため、もし離職者区分に不服がある場合は手続き時に申出を行う事。
③ ハローワークには受給開始まで最低3回、それ以降は4週間に1度訪れる
Ⅰ:求職の申込み・書類提出
Ⅱ:雇用保険受給者説明会
Ⅲ:就職活動の報告と面談
詳しいスケジュールなどは『Ⅱ:雇用保険受給者説明会』で案内があるため、しっかり確認する事。
ただ、今回の内容で『どうやら自分は失業手当を受け取れそうだ』『大体の流れは理解できた』という方だと、次に気になるのは『実際に受け取れる金額』だと思います。
今回はここまでの内容となりますが、次回は気になる実際に受け取れる失業手当の額の考え方やシミュレーションについてまとめた内容をご紹介する予定です!
ぜひ今回の内容と合わせて、次回の実際に受け取れる金額の確認もご覧くださいね。